株式会社アドバンスダイソー
日本人の採用難を背景に外国人エンジニアを迎え、大きな社内の変化を経て言語や生活面の数多くの課題を乗り越え、真摯な仕事ぶりと長期的な成長意欲で製造現場を活性化。
■ 売上
:10億4,8601千円
■ 業種
: 金属製品の製造、加工、レーザー加工、及び溶接
■ 従業員数
: 64名(2024年時点)
■ エンジニア職種
: CNCマシンオペレーター
■ 外国人採用人数
: 5名
当社は「精密板金加工」を主たる業務とする製造業です。主に、環境測定機器や分析機器を製造されている大手メーカー様(例:島津製作所様、堀場製作所様など)の金属製の部品・カバーを製作しています。
板金業務というと、建築資材や自動車など幅広い分野がありますが、当社の得意分野は“精密”と呼ばれる、ミクロン単位の精度を求められる部分や複雑な形状の金属部品の加工です。
具体的には、レーザービームやNC付きプレス機で金属板を切断し、曲げ・溶接・塗装・メッキなどの工程を経て、精密機器に組み込むための部品を提供しています。
拠点としては、本社工場と第二工場があり、従業員は正社員が41名、役員5名、パートが13名、さらに派遣社員が5名在籍しており、全体で64名の体制となっています。
技術力が求められる領域ゆえに、一人ひとりのスキルや経験が重要で、また人手不足が課題になりやすい業界とも言えます。
もともとは「日本人の若い方を採用したい」という希望が強く、いくつかの求人媒体で募集をしていました。
特に新卒や若手の中途採用に力を入れていて、大手求人サイトに掲載するときは、広告費としてかなりの額を投入していたんです.
ところが、思ったほど応募が来ない、面接の約束をしても実際に来ないといった状況が続きまして…。
そこで一度、「外国人材も視野に入れてみてはどうか?」というお話を、知り合いを通じていただいたのですが、最初は正直、抵抗感がありました。たとえば、
こういった不安要素が多く、しばらく踏み切れませんでしたが、その後御社から「長期で働きたい意欲を持った方をご紹介できる」というお話をいただき、こちらの懸念点を一つひとつ確認しながら準備することで、「外国人エンジニア採用もアリかもしれない」と考えが変わっていきました。
外国人採用に踏み切る前、会社としては大きく2つの課題を抱えていました。
以上のような点から、当初は「できれば日本人を採用したい」「外国人はハードルが高そう」という姿勢でした。
思っていたほど大きな言語のトラブルはなく、むしろ真面目にコツコツと仕事に取り組んでくれているという印象です。
彼らは専門技術への意欲が高く、業務を覚えるスピードも早いと感じます。日本人が不真面目というわけではありませんが、外国籍の社員の勤勉さには学ぶところもあると思います。
また、彼らが増えていけば、同じ国同士で助け合いながら指導もしてくれるため、教育体制の充実にもつながると期待しています。
実際に採用をしてみた結果、いちばん大きく感じたのは「想像以上に真面目で積極的」だということです。
初めは私たちの方が身構えていましたが、彼らは与えられた作業をこなすだけでなく、失敗しても改善しようと自ら学び、仕事の進め方を覚えようとする意欲が高いです。
もちろん最初は言葉の壁もあり、なかなかうまく意思疎通ができないときもありました。
ですが、日本語で丁寧に説明すると、理解できない部分は何度も聞き直してくれて、同じミスを繰り返さないように頑張ってくれます。こうした姿勢は、日本人の若手の方々と比べても決して遜色ないですし、むしろ「もっと学びたい」という前向きさを強く感じることが多いですね。
彼らはエンジニアとして機械操作や製品の検査などを担っています。精密板金では、1mm以下の誤差が品質を大きく左右することもありますから、どうしても丁寧な教育が必要です。
当社の場合、社内でのOJT(現場実習)に時間を割くのが難しい面もありますが、それでも彼らは「学ぶ姿勢」を常に持って取り組んでくれています。
たとえば、図面の読み方や機械の調整方法などを教えると、最初は失敗や不良が出ても、徐々に改善していく。時には「同じ工程でもっと効率的なやり方はないのか」と、教わるだけでなく提案してくれることもあり、そこは大きな助けになっています。
また、コミュニケーションは日本語だけでなく、身振り手振りや翻訳アプリなども使いながら工夫しています。機械の調整や製品の精度に関わる知識が必要なので、細かい部分で齟齬がないよう、指導する側も彼らも慎重にやり取りしている印象です。
社内の反応は、私自身が一番驚きました。というのも、導入前は「本当にうまくいくのか? 周りの社員が受け入れてくれるのか?」と心配だったんです。
でも蓋を開けてみれば、最初に彼らに声をかけてくれた数名の社員の存在が大きくて、どんどんコミュニケーションの輪が広がったんです。
例えば、昼休みに自転車置き場で外国人エンジニアの方々と楽しそうに話している光景を見かけたり、レクリエーション(ソフトボール、バーベキュー、ボーリング大会など)を企画すると、積極的に参加してくれて、そこから一気に打ち解けるきっかけになりました。
言葉の問題はあっても、笑いながら身振り手振りで伝え合ううちに、だんだん「友達」みたいな関係になってきた感じですね。
“日本人特有の遠慮”があるかと思いきや、案外社員が自然に声をかけてくれるのを見て、「ああ、これなら心配いらなかったな」とほっとしました。
彼らがまじめに取り組んでくれる姿勢を見て、他の社員も「一緒にがんばろう」という気持ちを持ってくれているように思います。